グリシン|効果・一日の摂取量・副作用など

グリシン|効果・一日の摂取量・副作用など

睡眠に深くかかわる栄養素――グリシン。満足のいく睡眠、質のいい睡眠というのは様々な要因から成り立っています。

いつもとは違う場所だとよく眠れないとか、寝具の不具合が睡眠の質を左右することもあります。あるいは、何らかの栄養素が足りないために睡眠が十分にとれないこともあります。

思い煩いがあれば、横になってもまんじりともせず朝をむかえることもあるでしょう。どれか一つだけ満たせばそれで良い睡眠が保証されるわけではありません。

逆に言えば、どれか一つが十分でない場合、睡眠の質を落とす場合があるということです。たとえば、枕の高さが適正でない場合、高さをちょっと変えるだけで睡眠の質が向上することがあります。

同じように、ある栄養素が不足している場合、それを補うだけで睡眠の質を高めることがあります。睡眠不足を改善するためには、自分の睡眠を妨げているものは何なのかを知ることは大切です。

ここでは睡眠に関与する栄養素「グリシン」について述べてみたいと思います。わたしたちの体は脳や内臓などの深部体温が下がることによって深い睡眠に入ることができます。

入浴後30分から1時間してから就床すれば寝つきがよくなるといわれますが、それは入浴によって上がった体温を、今度は体が下げようとする働きを利用するからです。

グリシンにも同じような働きがあり、グリシンは血管を広げて表面体温を上げることで、深部体温を下げます。深部体温が下がると人は睡眠に入りやすく、眠りに入るのがスムーズにいくと、最初に訪れるノンレム睡眠の質も高めることができます。

最初のノンレム睡眠で深い眠りをとることができれば、その後の睡眠のリズムも整いやすくなるからです。もしも今、睡眠不足や不眠で悩んでいて、いろいろ試してみたが改善されない場合、睡眠にかかわる栄養素が足りていないことも考えられます。

あなたの睡眠不足はグリシンが足りていないからかもしれませんし、それとは関係がないかもしれません。それでもグリシンについて知らなければ、それが原因かどうかを見極めることはできません。

睡眠不足について悩んでいる今、グリシンについて知ることは決して無駄ではないと思います。

グリシンがわたしたちに及ぼす効果について

グリシンがわたしたちに及ぼす効果についてグリシンがわたしたちに及ぼす働きにはどんなものがあるのでしょうか。それを述べる前に、グリシンとは何なのかについて説明したいと思います。

グリシンとは何か

わたしたちの体を構成する要素として最も多くを占めるのは水で約60%を占めています。残り40%のうち、約半分がタンパク質です。

タンパク質は髪や皮膚、内臓、筋肉といった各器官のもととなるだけでなく、消化・吸収を助ける酵素や、代謝・生理機能にかかわる各種のホルモンになります。

また、味やにおい、光といった刺激を感知するレセプター、物質の運搬にかかわる血液やリンパ液の一部になったり等、わたしたちの生命活動を支えるもととなっています。

ヒトの場合、10万種類ものタンパク質があるといわれており、それらのタンパク質は20種類のアミノ酸がそれぞれの組み合わせを変え、複雑な立体構造をとったものからできています。

10万種類のタンパク質は一つ一つが機能や構造としては別個のタンパク質となっています。

20種類のアミノ酸のうち、体内で生成されず食事を通して摂る必要のあるアミノ酸を必須アミノ酸と呼び、体内で生成可能なものを非必須アミノ酸と呼んでいますが、グリシンは非必須アミノ酸に含まれるアミノ酸の一種です。

グリシンにはどんな働きがあるか

体の末端が冷えていると、体内の熱は外へ出れずこもるため、人の体は眠りに入るために、手足や体表の毛細血管を広げて血流量を増やし、熱を発散させることで内側の温度を下げようとします。

グリシンには、先に述べたように血管を拡張させる作用があるため、深部体温を下げるのを助ける働きがあります。

また、ノンレム睡眠に入りやすくし、その時間を増やし、ノンレム睡眠とレム睡眠のバランスを整える働きもあることが最近の研究で分かっています。質の良い睡眠をとると、目覚めもスッキリし、朝からの活動や集中力にも差が出ます。

グリシンは間接的にわたしたちの精力的な活動を支えているといえます。新陳代謝にかかわる成長ホルモンはノンレム睡眠中に最も多く分泌されるので、グリシンは、体の修復や回復の促進にも貢献しています。

また、肌をつくるもととなるコラーゲンはタンパク質の一種ですが、他のタンパク質同様、コラーゲンもアミノ酸の結合によってできており、コラーゲンを構成するアミノ酸の約3分の1はグリシンが占めています。

コラーゲンだけでなくエラスチンの材料にもなるグリシンは肌のキメやハリに関与しています。

グリシンが不足すると肌を新しく作るための材料が不足するため、シワや肌荒れといった肌の問題を抱えることになります。コラーゲンは肌だけでなく、軟骨の材料にもなるため、不足すれば関節痛を発症させます。

グリシンを摂ることで深い睡眠を得ることができ、深い睡眠は成長ホルモンの分泌を活発にし、成長ホルモンは新陳代謝を促します。そして、新陳代謝に必要なコラーゲンの材料として、グリシンは役立てられることになります。

グリシンには他にも、酸素を運ぶヘモグロビンの材料になったり、アルコールの代謝を助けたり、セロトニンを増やす働きがあるため抗うつのために使われたり、前立腺肥大の緩和にも役立てられています。

また、抗酸化作用のあるグルタチオンや核酸のプリン体、筋力に必要なクレアチンの材料にもなります。

さらに、寿命を縮める原因物質であるメチオニンを分解する働きもあることが動物実験で分かっており、長寿効果が期待されている物質でもあります。

グリシンはどんな食品に含まれているのか

グリシンはどんな食品に含まれているのかゼラチンから発見されたアミノ酸であるグリシンは、ゼラチンをはじめ、鶏の軟骨や豚足、牛スジなどコラーゲンを豊富に含むといわれる食品や動物性タンパク質にたくさん含まれています。

このため、エビやカニ、ホタテ、イカ、シラス等の魚介類、牛乳やチーズなどの乳製品にも多く含まれています。また、畑の肉といわれる大豆製品――きな粉や豆腐など――やナッツ類からも摂ることができます。

小麦や米などの穀類にもわずかですが含まれていて、通常の食生活を送っている分にはまず不足することはないと思われます。

非必須アミノ酸であるグリシンは、スレオニン(トレオニン)やセリンといった他のアミノ酸を利用して体のなかでつくることもできます。つまり、スレオニンやセリンといったアミノ酸が含まれている食品からでも、体はグリシンを得ることができるのです。

スレオニンは卵や鶏肉などの動物性タンパク質、セリンは大豆製品や牛乳に多く含まれています。

グリシンの1日の推奨摂取量は?

グリシンの1日の推奨摂取量は?グリシンはいろいろな食品に含まれているだけでなく、他のアミノ酸を使って体内でも合成できるため、通常の食生活をしていれば3000~5000mgのグリシンが摂れるので、まず不足しないと考えられています。

グリシンの摂取量についての基準は今のところなく、必要量は人によって変わります。たとえば、激しい運動をしている人は、グリシンの摂取量はそうでない人に比べて多めに摂る必要があります。

また、不眠で悩んでいる人の場合、グリシンが不足していることも考えられますから意識して摂ることが勧められます。深い睡眠を得るために必要なグリシンの量は3000mgといわれ、就床する30分~1時間前に摂るのが効果的とされています。

ところが、グリシン3000mgを摂ろうと思うと、牛や豚のひき肉なら約200g、鶏の胸肉なら約250g、カツオは約100gで足りますが、ブリやマイワシだと300g必要になります。

グリシンを3000mg摂るためには通常の食事のおかずの量くらいは食べなければならないわけですが、寝る直前の食事は成長ホルモンの分泌を悪くし、睡眠の質を下げます。

また、グリシンを多く含む動物性タンパク質を摂取すると、脂肪など余分な栄養素も一緒に摂ることになります。このため、睡眠の質を上げるためにグリシンを摂るケースではサプリメントを利用するのがよいと思われます。

サプリメントだけなら胃腸にあまり負担をかけずにグリシンだけを摂取することができるからです。

グリシンに副作用はある?

グリシンに副作用はある?グリシンは基本的に副作用のない安全な物質だとみなされており、甘みを感じさせることから調味料に使われたり、細菌の増殖を抑える働きがあるため保存料にも利用されたりしています。

ただ、食品からではなくサプリメントから摂り過ぎた場合は吐き気や下痢などの胃腸の不調が出る場合があるようです。動物実験ではグリシンの過剰摂取による呼吸器系の麻痺が報告されています。

いずれの場合も過剰摂取で、グリシンに限らずどんなものでも摂り過ぎるなら何らかの害を及ぼします。

サプリメントはあくまで食事で不足した分を補う目的で利用すべきもので、サプリだけでグリシンの一日の必要量をすべて摂ろうとするのは間違いです。サプリメントのなかには、化学合成によるグリシンが入ったものもあります。

睡眠効果だけでなく美容効果もあるからと、グリシンのサプリメントをたくさん摂るのは避けましょう。特に妊娠中の影響については、まだ研究が進んでいないため注意が必要です。

グリシンについての注意点

グリシンについての注意点たしかに睡眠効果のあるグリシンですが、グリシンを摂ったから睡眠の質が保証されるわけではありません。最初にも述べたように、満足のいく睡眠、質のいい睡眠というのは様々な要因から成り立っています。

どれか一つだけ満たせばそれで良い睡眠が保証されるわけではありません。逆に言えば、どれか一つが十分でない場合、睡眠の質を落とす場合があるということです。

たとえば、深い睡眠を促す物質としてメラトニンがありますが、メラトニンは明るいところでは分泌が抑えられます。

グリシンを飲んだから睡眠は保証されたと考え、明るい部屋で夜更かししたり、寝る直前までテレビやスマホの画面を見ているなら、メラトニンの分泌は減り、深い睡眠を得ることはできません。

寝る直前にたくさん食べたりするのも睡眠の質を落とします。グリシンは睡眠効果のある物質ですが、その効果を半減させるものがあれば、十分な効果を得ることはできません。

逆に、就床の30分~1時間ほど前の入浴など睡眠の質に貢献することと併用するならば、グリシンの効果も得やすくなるでしょう。